胸郭出口症候群(胸部出口症候群)
(1)胸郭出口症候群(胸部出口症候群)とは
鎖骨(さこつ)の近くには、腕神経叢(わんしんけいそう)という名前の末梢神経の束があります。この神経と、同じく腕や手指に行く動脈(鎖骨下動脈や鎖骨下静脈)とともに圧迫されて起こる病気です。心臓から続く血管が、胸郭を出た所で神経とともに圧迫されるので、この名前が付いています。
(2)胸郭出口症候群(胸部出口症候群)の症状の特徴
症状は、手指や腕のしびれ、熱感・冷感、脱力感といった症状から始まります。次に徐々に首や肩、肩甲部のうずくような痛みが現れます。このような症状は、電車のつり革につかまる時のように肩をあげて後ろに反らす姿勢や、首を反対側に傾けてさらに後ろへ反らす姿勢をする時に強くなります。
神経が圧迫されることにより、しびれや痛みが現れます。動脈が圧迫されると腕や手指の色が蒼白になります。静脈が圧迫されると腕や手指の色が暗青紫色になります。進行すると、このような動作がまったくできなくなります。
首が長くて「なで肩」の女性に多く発症し、発症のピークは20代です。腕のしびれや痛みのある側に顔を向けて、そのまま首を反らせて深呼吸をすると鎖骨の部位の動脈が圧迫され、手首のところの橈骨動脈(とうこつどうみゃく)の脈が弱くなるか触れなくなります(アドソン テスト陽性)。座った姿勢で両肩関節90度外側に回転する、あるいは90度外旋廻する、肘を90度屈曲位をとらせると、手首のところの橈骨動脈の脈が弱くなるか触れなくなり、手の血行がなくなり白くなります(ライト テスト陽性)。
また、腕を挙げた上体で、両手の指を3分間屈伸させると、手指のしびれ・前腕のだるさのために腕を挙げ続けてしられず、途中で腕を降ろしてしまいます(ルース テスト陽性)。座位で胸を張らせ、両肩を後下方に引かせると、手首のところの橈骨動脈の脈が弱くなるか触れなくなります(エデン テスト陽性)。
(3)胸郭出口症候群(胸部出口症候群)の治療法
- 1.保存療法
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治療の方法は、肩こりに対してのマッサージや肩周辺の筋肉のストレッチングを行います。しかし、こういった治療はあくまでも対症的な治療なので、根本的な解決にはなりません。ですので、日ごろからのケアーも大切です。姿勢を正しく(猫背矯正)することが重要です。胸郭出口症候群の患者さんは、首が曲がり、背中も曲がりがちです。これが肩にかかるストレスの原因です。ですので、上から引っ張り上げられているようなイメージで、姿勢を正しくすることが症状の改善につながる場合があります。
整形外科などでは、猫背矯正用の装具などを用い、これを治療するころがあります。装具を用いる方法でも、胸郭を開くことができるので、症状緩和には効果的です。しか、装具を長期間使用すると、筋肉量減少という問題が発生してきてしまいます。物を身体にあてがった方法というのは、自分で自分の体を支えられなくなってきますので、長期的には猫背が悪化することにつながります。また、自前の筋肉を使わなくてすむので、筋肉量が減り基礎代謝量も減ってきます。それにともない、冷え症や肥満、疲れやすい体になってくることもあります。
当商品は全ての方に効果があることを保証するものではありません。病気には、様々な症状・病状があり、効果には個人差があります。