線維筋痛症
(1)線維筋痛症とは?
- 1.検査では異常が出ない「原因不明の痛み」が特徴
- 原因は不明であり、通常の医師が行なう血液検査では異常が現れません。CTスキャンやMRIの検査しても異常がなく、この病気が診断できる特別な検査は今の所なく、治療法も確立されていません。
症状は、全身の耐え難い恒常的な痛み(慢性的、持続的に休みなく続く広範囲の激しい疼痛)を主な症状として、全身の重度の疲労や種々の症状をともなう疾患です。症状が進行すると、わずかな刺激(爪や髪への刺激、服のこすれ、音、光、温度・湿度の変化など)で激痛がはしり日常生活が著しく困難になります。
まだあまり名前の知られていない病気のため理解されないことも多いです。また検査で異常は見られないことから、「詐病」や「怠け病」などと思われることも少なくありません。生命に関わる病気ではありませんが、痛みのために日常生活や社会生活に支障をきたすことも少なくありません - 2.まだまだ認知度の低い病気
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欧米では1900年代初め頃から注目されてお、日本でも30年程前にこの病気の記述があります。以前は「結合織炎」「結合織炎症候群」と呼ばれていたものが今は「線維筋痛症(線維筋痛症候群)」と改められました。
日本ではようやく最近名前が知られてきたところで、まだまだ一般向け書籍等も少なく情報を得にくい病気です。医療関係者にも認知度が低く、なかなか診断がつかなかったり、ヒステリーや気のせいで片付けられてしまうことも多いようです。ストレスでパニック障害を起こす事もあり、患者はたらい回しにされ、仮面うつ病・更年期障害・自律神経失調症・身体表現性障害など単なる不定愁訴と誤診される場合も多い。痛みのため寝たきりになり働くことができず失職したり、経済的に困窮して日常生活が送れなくなる患者も少なくありません。
日本では人口の約1.7%、200万人以上と非常に多くの潜在患者が存在するといわれています。
最近は医療関係者の間でも関心がもたれ、少しずつですが治療や研究が進められているところです。現時点ではまだ不明な点が多い病気であり、治療法の確立が待たれています。
(2)線維筋痛症の症状
- 1.全身の慢性的な激しい痛み
- 全身や身体の広範囲に痛みを感じます。痛みの箇所や強さは人により異なります。痛みの種類は普通の人が日常経験する痛みと異なり、耐え難いもので「電気が走るような痛み」や「ガラスの破片が流れるような痛み」などと表現されます。普通なら痛みを感じない程の刺激に対して痛みを感じることもあります。痛い箇所は移動したりすることもあります。
症状には個人差があり、軽度なら仕事を続けられる場合もありますが、重度の場合はガンの末期患者と同レベルの疼痛といわれており、日常生活に支障をきたし自力で生活できない場合もあります。症状が重くなると髪やつめに触っただけで痛みが走り、意識がもうろうとなり寝たきりになったり、通常の日常生活(食事・買い物・入浴・着替え・歩行・寝返り等)、呼吸や嚥下すら困難になる場合もあります。 - 2.付随する症状
- からだの痛み以外にも様々な症状を伴うことがあります。付随する症状としては、こわばりやうずき、痺れ、振戦と震え、全身倦怠感と疲労感、耳鳴り、視力の変化、頭痛、微熱、体温調節の失調、睡眠障害、不眠と過眠、歯や歯茎、顎の痛み、口内炎、顎関節症候群、眼の奥の痛み、頻尿、寝汗、動悸息切れ、発疹、低血糖症、月経前症候群、過敏性腸症候群、三叉神経痛など様々です。
(3)診断
2010年現在明確な診断基準はなく、現段階では1990年に米国リウマチ学会(ACR)が作成した分類基準を用いて診断されることが多いそうです。
◎広範囲に及ぶ痛みが3ヶ月以上続いている
◎全身にある18箇所の圧痛点(ツボのようなもの)を4kgfの力で押したときに11箇所以上痛い
ただし、11箇所以上でなくても専門医の判断で線維筋痛症と診断されることもあります。
ただし、症状が他の病気によるものでないことが条件です。
(4)線維筋痛症の治療
- 1.薬物療法
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最初には非ステロイド性消炎鎮痛剤 (NSAIDs) が処方されることが多いです。ただし、これまで安定した効果を持つ特効鎮痛剤は見つかっておらず、NSAIDsにて治癒もしくは軽快した例はきわめて少ないのが現状です。
三環系抗うつ薬が古くから有効とされています。日本でも2009年9月16日社会保険診療報酬支払基金よりアミトリプチンを「慢性疼痛におけるうつ病・うつ状態」に対して処方した場合、審査上認める通知が行われました
根本的な治療法は確立されていないので、様子をみながら治療が処方されていきます。線維筋痛症の痛みは個々人によって症状が異なるため、線維筋痛症に詳しく、これらの薬剤に熟知した専門医による処方が望まれます。 - 2.物理療法
- 電気治療、温熱治療など
- 3.運動療法
- ウォーキング、水泳、エアロビクス、ヨガ、太極拳などの運動に効果が認められている。痛みだけでなく気分や抑うつ状態にも効果があるといわれています。
- 4.心理療法
- 欧米では認知行動療法がさかんに行われています
- 5.ライフスタイルの見直し
- 仕事と休養のバランス、リラクゼーション、ストレスの軽減、感情処理 など
- 6.漢方療法
- 仕事と休養のバランス、リラクゼーション、ストレスの軽減、感情処理 など
当商品は全ての方に効果があることを保証するものではありません。病気には、様々な症状・病状があり、効果には個人差があります。