腎臓病の方の食事療法の基本を漢方薬剤師が指南

腎臓病の食事療法

腎臓病は生活習慣病が引き起こす病気の中でも人工透析になるなど、今までの生活をガラッと変えてしまう病気です。特に食事と深いつながりがあるのは皆さんご存じと思いますが、では実際に腎臓尿になった場合の最適な食事はどの様なものでしょうか?ここでは基本となる食事療法について解説します。

(1)たんぱく質はとりすぎないようにしましょう

たんぱく質を多くとりすぎると、腎臓からしか排泄されない尿素窒素やクレアチニン等が多くなり腎臓への大きな負担になります。
たんぱく質は主に魚や肉に含まれます。肉や魚ほどは多くありませんがたんぱく質は、ご飯、パン、芋類、果物、野菜などにも含まれていますので取る量には注意しましょう。

(2)エネルギーは十分にとりましょう

エネルギーは不足しないようにしましょう。また、エネルギーが不足しますと、身体中のたんぱく質が分解されエネルギー源になり(これを異化作用といいます)、体内の尿素窒素が増えるため、たんぱく質を多く食べたことと同じ状態になり、たんぱく質を制限する意味がなくなります。
たんぱく質が含まれない砂糖・でんぷん等や油類を上手に取りましょう。甘い和菓子や洋菓子はエネルギーアップになりますが、たんぱく質も多く含まれていますので気をつけましょう。サラダ油、マヨネーズ、ドレッシング等の油類は少量で高カロリーが取れます。

(3)食塩は控えましょう

腎臓でのナトリウムを排泄する能力が落ちていますので、食塩は控えましょう。特に高血圧の方は食塩の制限が必要となります。 
加工食品(ハム、ソーセージ等)や練り製品(はんぺんやかまぼこ等)はできるだけ控えましょう。
みそ汁等の汁物は半量にするか又は飲まないようにしましょう。レモンや酢等の酸味の利用により減塩でもおいしく食べられる工夫をしましょう。

(4)カリウムの制限をする場合

腎機能が低下して血液中のカリウム量が多くなり過ぎたとき、カリウム制限の指示がでる場合があります。
カリウムはあらゆる食品に含まれています。たんぱく質を減らすことによりカリウムも減らすことができます。生果物は通常の半量にするか果物の缶詰にしましょう。特にバナナ、メロン、キウイフルーツはカリウムが多いため注意しましょう。なお、缶詰のシロップは飲まないようにしましょう。
カリウムは水に流出しやすいので野菜・芋類は小さめに切ってから茹でこぼすか水にさらしてから調理しましょう。茹でた場合に除去できるカリウム量は、その種類や調理するときの形状、水の量、処理時間によっても異なります。ほうれん草などの葉茎菜類で約45%、いんげんなどの未熟豆類で約30%除去できます。小さめに切ったり、茹でた後によく水を切ったり、搾るようにすると
で、より多く除去できます。水にさらした場合も、茹でた時と同様に種類や切り方で相違が見られますが、玉ねぎなどの根菜類はカリウムの約40%が除去できます。海藻類はカリウムが多く含まれていますので、一度に多量にとることは控えましょう。

(5)水分の制限をする場合

(お医者さんから「水分を控えること」と言われている場合のみです。逆に水分はたくさん摂るように、と言われている方もいらっしゃいます)
「水分」は腎臓病の状況によって制限の内容が変わります。尿を濃縮させて排泄する働きが低下した腎臓では、たくさん老廃物を排泄するのにたくさんの尿が必要になりますので、たくさん水分を摂る必要があります。
しかし、尿量が低下して摂った水分が排泄せずにからだにたまってしまうひとは水分の制限が必要になります。人間のからだの60%は水分でできているという話はよく聞きますね。体液バランス異常のあるひとは体液量が過剰になるとむくんだり、心臓が水風船が膨らむように大きくなったり、肺に水がたまったりします。心臓に負担をかけることは透析療法を受けることになったあとの生活にも影響します。
飲む水分量を計量しましょう。料理の水分も考慮しますので、水気を切って食べるようにしましょう。極端な水分制限は腎臓を流れる血液量が減少し、働きが落ちるため指示量は摂取しましょう。

当商品は全ての方に効果があることを保証するものではありません。病気には、様々な症状・病状があり、効果には個人差があります。

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